京都麦酒ってまずいの？種類ごとの味の違いや好みに応じた選び方

京都麦酒（きょうとばくしゅ）は、日本酒の老舗蔵元「黄桜」が手掛ける京都発のクラフトビールブランドです。1995年、酒税法改正による地ビール解禁を機に京都で第一号となる地ビール「黄桜麦酒」として誕生したのち、ブランド名を「酒蔵仕込 京都麦酒」に改めました​

日本酒メーカーならではの技術や素材を活かし、名水「伏水」を仕込み水に用いるなど清酒仕込みの伝統をビール造りに応用しています​。記事では、京都麦酒の背景やコンセプト、豊富な種類と味の特徴、さらには「まずい」と感じる人の意見やその傾向を紹介し、最後に味の好みに応じたおすすめの種類をご提案します。

黄桜の京都麦酒について

黄桜は1925年（大正14年）創業の京都伏見の酒造会社で、日本酒「黄桜」の蔵元として知られています​そんな黄桜が培ってきた清酒醸造の技術と情熱を活かし、新たな挑戦として生み出したのが京都麦酒です。京都麦酒は1995年に発売され、京都初のクラフトビールブランドとなりました​。

清酒メーカーが造る地ビール

京都麦酒のコンセプトは、「清酒メーカーが造る地ビール」というユニークさにあります。黄桜は酒蔵ならではの名水「伏水」を日本酒だけでなくビール造りにも使用し、きめ細やかで口当たりの柔らかい中硬水によって雑味のないまろやかなビールを実現しています。

​また、あえて緩やかな濾過にとどめて酵母を適度にビール中に残すことで、旨み豊かな味わいを引き出しているのも特徴です​。黄桜は「喉越しではなく舌で味わうビール」をモットーに、大手ビールにはないコクと風味を追求しています​

京都ならではの素材を使っている

さらに京都麦酒では、清酒醸造で培われた発酵技術を活かし、清酒酵母や酒米、京都ならではの素材を積極的にビールに取り入れています​

例えば、酒造好適米の「山田錦」を原料に使ったビールや​清酒酵母で仕込んだビール、京都名産の柚子や宇治抹茶、丹波黒豆を使用した風味豊かなビールなど、他にはない個性的なラインナップを展開しています​。

こうした背景には、「京都の伝統とビールの融合」を目指す黄桜の想いがあり、京都麦酒は地元京都の土産や観光客にも人気を博しています​

京都麦酒の種類と味の特徴

京都麦酒は多彩なフレーバーとスタイルのビールを揃えており、定番のエールから京都ならではの変わり種まで楽しむことができます。それぞれの種類ごとに、味わいや香り、後味の特徴を詳しく見ていきましょう。

京都麦酒 ペールエール

京都麦酒のペールエールは、淡い黄金色のビールで華やかな香りとキレのある飲み口が特長です。上面発酵のケルシュスタイルに近い軽快なエールで、アルコール度数5％・苦味IBU25程度とバランスのとれた味わい。

ホップの苦味はIPAほど強烈ではなく程良いため飲みやすく、喉越しもすっきりしています。フローラルな香りがありながら後味はさっぱりとしているので、揚げ物から和食まで幅広い料理に合わせやすいビールです。一方でエール本来の香りやコクは控えめで、「クラフトビールと思うともの足りない」という声もあります。

京都麦酒 ブラウンエール

京都麦酒ブラウンエールは、濃い赤銅色をしたエールで、香ばしいカラメルのような麦芽の香りと程よいホップの苦味が絶妙に調和したクラフトビールです。ローストモルト由来のコクが感じられる重厚感ある飲みごたえで、エールらしい深みと甘みのバランスが楽しめます。

後味にはほのかなモルトの甘さが残り、苦味も強すぎず穏やかなので、コクのあるビールが好きな人にはたまらない味わいでしょう。炭酸ガスはペールエール同様に強すぎず滑らかで、まろやかな口当たりです。

京都麦酒 ゴールドエール

ゴールドエールはその名の通り淡い山吹色（黄金色）をしたエールで、黄桜ならではの清酒酵母を使用して醸されたユニークなビールです​。一口含むと吟醸酒を思わせるフルーティーな香りがふわっと感じられ、爽やかながらも奥行きのある風味が特長です。

アルコール度数は4％台とやや軽めで、苦味も穏やかで後味はクリーンです。清酒酵母由来の香り高さとソフトな味わいから、「黄桜ならではのビール」と評されており​、日本酒好きにも一度試してほしい一品です。

ゴールドエールはビール酵母ではなく清酒酵母で発酵させているため雑味が少なく、上品な余韻が残ります。ビールの苦味が得意でない方や和食と合わせるお酒を探している方にもおすすめできる、和のテイストを感じるエールです。

京都麦酒 ブロンドエール

ブロンドエールは、最高級の酒米「山田錦」と名水伏水を用いて仕込まれた京都麦酒オリジナルのエールです。淡い山吹色のビールで、きめ細かなクリーミーな泡立ちとやわらかな風味が特長となっています。

麦芽とホップに加えてお米を使用していることから、口当たりは非常にまろやかでスムースです。アルコール度数は5％、苦味も控えめで、「舌の上に苦味が残らないアッサリ系」と評される飲みやすさがあります。

エールらしい香りはありつつも全体的に穏やかでクセが少ないため、日本酒しか飲んだことがない方でも親しみやすい味わいでしょう。逆にビール通からするとボディが物足りないと感じる向きもありますが、「まろやかな風味で飲みやすい」と高評価する声も多いビールです。

京都IPA（Kyoto IPA）

京都麦酒シリーズには、トレンドを取り入れたIPA（インディアペールエール）も存在します。京都IPAはモルトの旨味とホップのフレーバーを贅沢に楽しめる本格IPAで、華やかな柑橘系のアロマと程よいホップの苦味が特徴です。

一口飲めばグレープフルーツのようなフルーティーさが口に広がり、しっかりとした苦味がありながら後味はクリーンでキレがあります​。IPAとしては飲みやすい部類で、「ホップの香りが鼻から抜ける爽快感と、麦芽のコク、苦味と甘さのバランスが絶妙」という評価もあります​。

アルコール度数は6％前後で、ペールエールでは物足りないビール愛好家にも満足できるしっかりした味わいです。柑橘系ホップの香り高さゆえに、肉料理や濃い味付けの料理とも相性抜群です。

抹茶ビール（京都麦味 抹茶）

京都ならではのフレーバービールとして見逃せないのが、宇治抹茶を使用したその名も「京都麦味 抹茶」です。アルコール度数9％というハイアルコールの発泡酒で、味も見た目もまさに抹茶そのものというインパクトがあります。

注いでみるとグラスの泡までしっかり緑色を帯びており、「本当にこれビール？」と思わず声が出るほど驚かされます​液体自体は一見ダークブラウンにも見えますが、光に透かすと鮮やかなディープグリーンを呈し、抹茶の濃厚な香りが立ち上ります​。

ひと口飲めば抹茶特有の渋みと苦味がずっしりと舌に広がり、まるで濃い抹茶そのものを味わっているようなコクと苦味です。同時に炭酸もしっかり効いているためビールらしい爽快感も感じられ、重厚な中にもキレがある不思議な飲み心地に仕上がっています。

京都麦酒を「まずい」と感じる人の特徴

一方で、京都麦酒について調べると、否定的な意見や「まずい」という声が見受けられるのも事実です。どのような人がどんな点に不満を感じているのか、その特徴や傾向を分析してみました！

ビール愛好家から見ると物足りない？

普段から海外のIPAや個性的なクラフトビールを嗜んでいるビール通の層からは、京都麦酒の味わいが「大手ビールに比べれば悪くないが、エール本来の香りやコクが足りない」との指摘があります​。実際、ペールエールに関するレビューでは「ペールエールなのに香りがまったくない」といった辛口なコメントが見られました​。

きめ細かな泡や豊かなホップアロマを期待すると肩透かしを食らうことがあるようで、「クラフトビールと思うともの足りないかな」という声も聞かれます​。

要するに、香りやボディのインパクトを重視するビールファンにとっては、京都麦酒の一部商品は大人しすぎて物足りなく感じられる傾向があります。

苦味やキレを求める人には中途半端？

一方、普段からキレ味の鋭い大手ビール（いわゆるスーパードライ系）を愛飲する層にとっては、京都麦酒のまろやかな飲み口が却って中途半端に映ることもあるようです。

「ペールエールなのに色が薄い。飲んでみると…スーパードライとクリアアサヒを足して2で割って苦みを足したような味」という声も。

キレ重視派のビール好きには京都麦酒の穏やかな苦味では満足できず、かといって大手ビールほどスッキリでもないため中途半端に感じ、「リピートはしない」という判断に至るようです​。要は、シャープな苦味やドライな後味を好む人にとって、京都麦酒の味わいは少し方向性が違うのかもしれません。

独特な風味に戸惑う人も

京都麦酒の中には、前述したように清酒酵母由来の吟醸香や抹茶・柚子など個性的なフレーバーを持つ商品もあります。こうした変わり種ビールに対しては、好き嫌いが分かれやすい傾向があります。

ビールに伝統的な麦芽とホップ以外の要素を求めない保守的な嗜好の人にとって、京都麦酒のユニークな風味は違和感となり「まずい」と感じてしまうケースがあります。

炭酸や後味の好みのズレ

ビールの評価は炭酸の強さや後味のキレ具合によっても左右されます。京都麦酒は先述のように柔らかな口当たりを重視しているためか、炭酸ガス圧は大手のラガービールよりも穏やかです​。

そのため、「炭酸が弱めで物足りない」と感じる人がいる一方で、「炭酸が弱いのでお腹が膨れずゆっくり楽しめる」と好意的に捉える向きもあり、人によって評価が分かれます​

また、ペールエール系の商品では苦味が控えめなぶん甘みや丸みを感じる後味になっており、これを「ビールらしくない」とネガティブに捉えるか「飲みやすい」とポジティブに捉えるかも、飲み手の好みによって異なります。

味の好みに応じたおすすめの京都麦酒

香りやコクが物足りないと思う人にオススメの京都麦酒

京都麦酒 京都IPA

「もっとホップの香りや苦味が欲しい」「薄味で物足りない」と感じた方には、京都麦酒シリーズの京都IPAがおすすめです。柑橘系ホップの華やかな香りと十分な苦味がありながら、後味はすっきりとキレがあるIPAで、従来のペールエールでは満足できなかったクラフトビール愛好家でもきっと楽しめるはずです。

京都麦酒 ブラウンエール

ブラウンエールもカラメル麦芽のコクと香ばしさがしっかり感じられるため​、ペールエールでは物足りなかったボディの強さを補ってくれるでしょう。より個性的な味を求めるなら、限定醸造の抹茶ビールにチャレンジしてみるのも一興です。抹茶の深いコクと9％の重厚な飲み応えは他のビールにはない体験で、「新しい味にハマる人も多いのでは？」との声もあるほど、インパクト重視の方にはぴったりです。

苦味やクセが苦手な人にオススメの京都麦酒

京都麦酒 ブロンドエール

「思ったより苦くて飲みにくい」「ホップの青臭さが気になった」という方には、ブロンドエールやゴールドエールをおすすめします。ブロンドエールは苦味が控えめでまろやかな口当たりなので「ビールの苦味が苦手な人でもスイスイ飲める」と評判です。山田錦由来の優しい甘みと柔らかな風味が感じられるため、ホップの苦味が前面に出るビールが合わなかった方でも安心して楽しめます。

京都麦酒 ゴールドエール

ゴールドエールも清酒酵母由来のフルーティーな香りと穏やかな味わいが特長で、後味がすっきりキレイに消えていくのでクセを残しません。どちらもアルコール度数が高くない分軽快で飲みやすく、「ビールは苦いだけでまずい」と敬遠していた方にぜひ試していただきたい優しい味わいのビールです。

変わり種の風味が苦手な人にオススメの京都麦酒

京都麦酒ペールエール

抹茶や吟醸香などのユニークな風味に馴染めなかった場合は、オーソドックスなスタイルに立ち返ってみましょう。京都麦酒ペールエールやブラウンエールといった定番商品は、奇をてらわずビール本来の麦芽とホップの風味を楽しめる一本です。

「まずい」と感じた原因が特殊な素材由来の風味であれば、そうした素材を使っていないシンプルなエールなら違和感なく飲める可能性があります。例えば抹茶ビールが合わなかった人でも、ブラウンエールの香ばしいコクであれば素直に美味しいと感じるかもしれません。

また、清酒酵母の香りが独特に思えた人には、通常のビール酵母で醸造されたペールエールやIPAを改めて味わってみることをおすすめします。黄桜のビール造りの真髄は「舌で味わう旨み」にあるため、派手さはなくとも滋味深い旨さがじわっと感じられるはずです。

炭酸やキレにこだわる人におすすめの黄桜ビール

「もっとシュワっと喉にくるビールが好き」という方は、グラスや温度にも工夫してみましょう。京都麦酒は繊細な風味を楽しむビールゆえに、冷やしすぎると香りが感じにくくなります。

適度に冷やした状態で勢いよく注げば泡立ちが増し、炭酸の刺激も感じやすくなります。どうしても物足りなければ、同じ黄桜ブランドの派生シリーズ「LUCKYシリーズ」や「悪魔のビールシリーズ」に手を伸ばすのも手です。

LUCKYシリーズや悪魔のビールシリーズもおすすめ

たとえばLUCKYシリーズのホワイトエールや、悪魔のビールのIPAは炭酸もしっかりめでキレのある飲み口との評価があります。京都麦酒に限らず、黄桜のクラフトビールは種類ごとに個性が異なるので、自分の炭酸・キレの好みに合った一本を探してみてください。